【自動車研究科】チャレンジ問題5

〔問題〕エンジン不調が発生したのでダイアグノーシス・コードを確認したところ、異常コードが表示されませんでした。そこで外部診断器を用いて正常車と不具合車の暖機後のアイドリング状態での点検を行い、下表の測定結果を得ました。故障推定原因として、適切なものは次のうちどれでしょうか?なお、車両はDジェトロニック方式エンジン搭載車です。

測定結果(エンジンECUデータ)

正常車 不具合車
水温(℃) 90 90
ISCVデューティ比(%) 39.4 39.4
エンジン回転速度(min-1) 750 750
O2センサ 0.3Vと0.7V間を変化する 約1V一定
バキューム・センサ(kPa) 37 37
噴射時間(ms) 2.6 2.2

 

(1) 水温センサの特性ずれ

(2) 吸気系統のエア吸い

(3) バキューム・センサ系統のホースの穴あき

(4) 燃圧不良

 

 

以下解説、解答になります。

 

 

〔解説〕

O2センサの値が1V一定ということは、空燃比が濃い状態であることを示しています。

 

(1) 水温センサの特性ずれ

不具合車両の水温センサのデータは90℃と正常車と同じでン  あるため、特性ずれは考えられません。

(2) 吸気系統のエア吸い

吸気系統にエア吸いがあると、空燃比が薄くなります。

(3) バキューム・センサ系統のホースの穴あき

不具合車両のバキューム・センサのデータは37kPaと正常ン   車と同じであるため、穴あきは考えられません。

O2センサの値から不具合車は空燃比が濃いことがわかります。その結果から、エンジンECUは空燃比を薄くするよう噴射時間を少なくしています。しかし、それでも空燃比の状況が変わらないということは、燃圧が高いため、同じ噴射時間でも多くの燃料が供給されてしまい、エンジン不調になっていると考えられます。

 

〔解答〕(4) 燃圧不良